第31話 本当のコーチング-リーダーであるための大前提その2

前回のコラムに登場したK社長とともに長年のゴルフ仲間で一部上場企業で役員を務めるTさんと久しぶりのラウンド。

私が所属するゴルフ倶楽部は神奈川県にあるのですが、数ホールで民家に隣接しています。

その民家から大型犬の鳴き声がたびたび響き渡ります。

この日のラウンドでもいつもながらに「ワン、ワン、ワン」

「あの犬はうるさいね。何をいつも怒っているだろうね?市原さん。」

「えっ?怒っているとはどういうことですか?」

「そうでしょ?いつもいつも何回も何回も鳴いている、何かに怒っているんですよ。」

Tさんには怒っているように聞こえるこの犬の鳴き声も大の犬好きな私には「こんにちは。」に聞こえます。

どちらが正しい、正しくないかは問題ではありません。正解は犬に聞いても永遠に得られないでしょう。

問題はTさんが犬が鳴く=怒っていると決めつけていること。

なぜ犬が鳴き続けることを怒っていると思うのか、彼がそう考える理由になった出来事を探るのはさておき(ビリーフの探求 ご参照コラム第23話 本当のコーチング-部下の信念を知っていますか?)→ 

リーダーである彼が自分の解釈を何の疑いもなく信じきってしまっていること。

世の中の出来事に対する解釈は人それぞれ、その際使われる言葉の意味するところも人それぞれです。

すなわち世界は人の数だけ存在するというのがコミュニケーションにおける大前提。(ご参照:弊社代表メッセージ 「人の数だけ世界がある」)→

リーダーがリーダーであるためにはこの大前提を理解し、身体の一部として獲得している必要があります。

自分が目指す世界を語るときはもちろん、部下が見て、聞いて、感じている世界を知ろうと彼らと語り合う時もこの大前提なくして何も創り出されません。

世界は人の数だけある、このマインドセットがリーダーに包容力をもたらします。

この包容力が言語、非言語を通じ、相手に「この人についていきたい、この人に自分の人生を賭けてもいいかも?」という安心感を抱かせます。

「黙って俺について来い、俺の言葉に偽りはない」という時代はとっくに過ぎ去っています。

何が起ころうが動じない、包容力、鷹揚、胆力が神様からリーダーというポジションを与えられたあなたに最も必要とされる資質です。

あなたは自分の世界・言葉に自信がありますか?他人の世界・言葉を身体を張って共有できますか?