第63話 エクゼクティブコーチングー”I(アイ)メッセージ”をどう使っていますか?
-----“私は____と思います。” “私は____と感じます。”円滑のコミュニケーションに効果的とコーチングの世界でいわれるⅠメッセージの手法。“私”を意識するばかりに巷では間違った使い方も見受けられます。きょうはリーダーが使うⅠ(アイ)メッセージについて説明します。------
「市原さん、先日年上のベテラン社員にⅠ(アイ)メッセージを使い伝えました。
『若手育成には経験豊かなあなたの力は不可欠です。私的にはぜひお力を貸していただければと思います。』
と。でも彼にはそっぽを向かれ、ほとんど反応が見られませんでした。」
「最近多い年上の部下問題ですね。でもYさんのその伝え方ではベテランのみならず若手にも伝わるかどうか、、、」
自動車関連企業で駆動系の設計課長をしているYさんとの一幕です。
【Ⅰ(アイ)メッセージとは?】
「あなたが作成した昨日のプレゼン資料が不十分でした。私は自信を持って話すことが難しかったです。」
というように“私”という言葉を使うことで、自分の感情や意見を効果的に伝える際に使うコミュニケーション手法です。
具体的な状況、感情、影響などの要素を伝えることで、相手に対して攻撃的でなく、理解しやすい形でコミュニケーションをする方法です。
“私”という言葉を使うことで、聞き手に対し「あなたはどう思います?」と解釈の余地を与えているのです。
自分の意見を断定的に伝えることなく、結果として上司という権限を振りかざすことにならないように出来るわけです。
【Ⅰ(アイ)メッセージが有効な場合】
リーダーがチームを運営していく過程で様々な問題が発生します。
その際、起きている事象、それに対するリーダーの所見を述べ、そしてその所見に対する部下の見え方、考え方、感じ方を聴き取る。
Ⅰ(アイ)メッセージはこのような通常のチーム運営に関わるコミュニケーションで威力を発揮します。
【Ⅰ(アイ)メッセージが機能しない場合】
これに対し、リーダーが自分の目指す世界(ゴール)を説明する際にはこのⅠ(アイ)メッセージは機能しません。
なぜならばリーダーが目指すゴールはリーダー自身が確信を持って作られなければならないからです。
そこには他人の意見が入る余地はありません。
上述のベテラン社員に新たな仕事を依頼するYさんの状況はⅠ(アイ)メッセージを使うことが適切ではなかったのです。
ご参考 経営者が考えるべきゴールの決め方とは?-エクゼクティブコーチングの考え方を解説 | コミュニケーションコンサルティング (com-cons.com)
【リーダーが使うべきⅠ(アイ:私)という言葉】
リーダーは時として強くなければなりません。
最近よく耳にする“私的”は“的”により“私としては”というニュアンスが強まります。伝える内容がしっかりとしたものであっても“私的”を使うことで自信の無さや逃げの姿勢ととられかねません。
胸を張って“私は”と語ってください。
部下にお願いするときははっきりと“〇〇してください“と語ってください。
最近よく耳にする”〇〇していただければと思います”も典型的な矢印が自分に向いた逃げの表現です。
ご参考 「○○いただければ。」で一体どうなるの? | コミュニケーションコンサルティング (com-cons.com)
お願いをするときは正々堂々と“〇〇してください“を使う。それが真のリーダーです。
「市原さん、ありがとうございます。週明け彼にもう一度伝えます。どうなったかは次回報告しますね。」
コミュニケーションコンサルティングであなたのコミュニケーション力は飛躍的に向上します。
エグゼクティブコーチング〜自己実現を目指す経営者のためのコーチング〜| コミュニケーションコンサルティング (com-cons.com)