第43話 営業はプレゼンテーション-新規開拓時に有効な鉄則とは?
---営業マンは経験を積むほどに語り上手になります。次から次へと流れるように言葉が溢れ、空間を支配します。しかし、その声はプロのアナウンサーのように聞こえてしまい、何か物足りない。”ナレーション”が終わると何もなかったかのように営業ミーティングも終わります。この物足りなさは何なのでしょうか?何があれば参加者一同が納得いくミーティングに進化するのか?今日はあなたのセールスを一変させるヒントをお伝えします。---
「どうしても会社案内の棒読みになってしまいます。新規顧客を前にして『私ってテープレコーダー?』とがっかりしてしまうのです。お客さんの懐に飛び込むような営業トークがしたいのです。」
電子部品メーカーで法人営業課長をしているTさんからのご相談です。
「なるほど。ところで会社案内の棒読みとはどういうことですか?具体的に教えて下さい。」との私の問いに
(こういう場合はまず質問です。話し手の世界を知りましょう。→弊社代表メッセージ 【人の数だけ世界が世界がある】)
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「いつも弊社の会社案内に書いてある強みである商品開発力、海外展開力、顧客重視のソリューション力をひとつひとつ丁寧に説明するようにしています。いろいろと説明したいことを焦らず、ゆっくり、分かりやすいように粛々と話します。」
そこで私がすかさず
「それでお客さんの反応はどうですか?」
「説明している間は終始一貫頷いて聞いてくれますよ。」とまんざらでもなさそうな面持ち。
「説明が終わった後はどうですか?」と私が突っ込むと
「概ね納得の表情をされていますが、質問が出たりすることもあまりありません。ですから大体私の方から不明な点がないか訊いたりしています。」と顧客の様子もしっかり見えている。
「お話を伺うとあなたが会社の説明をしっかりとしている光景が見えますね。お客さんもそれを理解されている。それで何が問題ですか?」
「無機質なんです。淡々と時が経過する。それで最後に”はい、時間です。終了。”との内的会話が起こるんです。」と俯くTさん。
「現状に満足されていないのですね?さきほどおっしゃった懐に飛び込むトークとは何ですか?具体的に教えてもらえませんか?」
「聞いている方が資料ではなく私の目を見て、出来ればその目が活き活きとしていれば尚良いですね。そこで質問が飛び交うなんてとても素敵な空間です。」
「いいですね。活気あふれるミーティングですね。でもTさん、あなた自身は懐を開いていますか?」
「えっ、それを言われると、、、」
多くの営業マンは自社の説明を懸命にします。組織で働く以上自社の説明を出来ることは当然ともいえます。しかし、それではあなたは組織の一員以上でも以下でもありません。会社の一部に過ぎない。担当替えでもあろうものなら”あーそうですか”で終わってしまう存在。テープレコーダーや会社パンフレットにならず、営業であるあなた自身がそこに存在する必要があるのです。
「私の懐を開くとは言っても、、、自分のことをしゃべるのですか?」
「もちろん。顧客はあなたのことを知りたいのです。あなたと会社をつなぐストーリーを聞きたいのです。」
ストーリーは人の心に強く残ります。自分の印象を残すにはストーリーを語ることは非常に効果的です。
「会社と私を繋ぐストーリーと言われても、、、」と戸惑うTさんに
「あなたは先ほど貴社の強みを3つ挙げられました。そのなかで一番の強みは何だと思いますか?」
「一番の強みですか。う~ん、どれもいいんだけど、あえて言えば顧客重視のソリューションです。」
「それはなぜですか?」
「入社したての頃技術部の先輩が毎日遅くまで図面と睨めっこしていたのです。その作業はあるお客様の要望を実現するためのものだったのです。そんなに無理しなくてもいいのではないでしょうかと質問したら『これはうちにしか頼めない複雑な注文なんて言われるとやり甲斐でいっぱいになっちゃう。』と仰ったのです。その顔が残業で疲れているどころかニコニコして楽しそうだったんです。」
「それです。それを語れば良いのです。お客さん、その話絶対に忘れないですよ。本当の顧客重視のソリューションですし。」
「そうですね。そう言われれば弊社のどの強みにもそれらと私を繋げる経験、そしてストーリーがあります。」
会社の強み、商品、特徴などを説明することはパンフレット、WEBページなどでも出来ます。読み手のペースで目を通し、読むことができる点では営業マンに勝ち目はない。わざわざ時間をさいてあなたに会ってくれる顧客にはパンフレットなどの資料の背後にあるものやそこには記載されていないことを説明すべきです。
物事の背後にあるストーリーはあなたの営業を生きたものにします。そのストーリーにはあなたの大切にしていることや信念、生き方が表されます。聞き手はそれらを無意識に感じ取り、面談を終えた後もあなたの印象として心に深く刻み込みます。
(信念は人間の行動をすべてコントロールします。営業に際して顧客の信念も聞き取ってください。
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営業セールスは顧客に対するプレゼンテーションです。ここで述べた”ストーリーを語る”以外にも”シンプルにする”、”信頼性を高める”、などいくつかの鉄則があります。
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