第44話 営業はコミュニケーション!-セールスの最中にすべきこととは?

---営業マンは商談が進むほどに語り上手になります。顧客が芳しい反応を示せばセールストークも力に溢れ、スピードも加速します。しかしここに大きな落とし穴が潜んでいます。商談が進めば進むほど営業とは何かという原点が問われます。---

「商談が進むにつれ客前で力が入り早口になってしまいます。商品の特徴、販売後のサービス体制、そして価格など矢継ぎ早に説明してしまいます。とにかく伝えるべきことを伝えなければいけないと焦ります。これ、問題ですよね。」

金融機関で投資商品の販売をしているFさんからのお悩みです。

「なるほど。なぜそれが気になるのですか?今までそうしてきたのですよね?」

弊社のコンサルティングでは悩みへの具体的対処法を私から伝えることはありません。

Fさんに対し

「ではゆっくり話すようにしましょう。」というような行動レベルでの対処を伝えたところで、根本解決にはならないからです。

Fさんは早口で話すことに対し無意識のうちにメリットを感じており、そのメリットが実はメリットではないと認識を改めない限り、Fさんは元の木阿弥です。また早口に戻るのは時間の問題でしょう。

(ご参照:弊社コラム第39話

コーチングとは?基本のスキルと仕事で使えるコーチングのやり方、注意点 | コミュニケーションコンサルティング (com-cons.com)

「なぜ気になるのだろう、、、分からないです。」とつぶやくFさん

「では違う質問をします。今までのその”早口営業トーク”をして、あなたは何を得ていますか?」との私の問いには

「しなくてはいけない説明をすべて出来ることの安心ですね。後から『あれも伝えればよかった』とは思いたくないし。」と自信満々に答えるFさんに私が

「でもそれは何も早口で一気に説明しなくても出来ますよね?」と突っ込むと

「確かにおっしゃる通りです。う~ん。なぜ早口になってしまうのだろう、、、」とまた下を向きボソボソ。

すかさず私がFさんの意識をずらすために私が

「Fさん、あなたはその時どこを見てその”早口営業トーク”をしてますか?」

「特段どこも見てないです。」とあっさりのFさん

そこでわたしがさらに

「お客さんのことも見てない?」

「何となくしか見てないです。あっ?分かりました。早口でしゃべっているとお客さんから質問とか反論とかされないのだ。そうか、私はお客さんから断られるのが恐いから早口でしゃべってしまう。安心したいだけだったのです。」

人は早口になればなるほど相手のことが目に入らなくなります。以前、有名なTVアナウンサーがプロレス中継でリング上の試合状況を故事成語、四字熟語など織り交ぜながら電光石火のごとくの早口で描写し人気を博しました。

ただし、ここで語られていたのは彼が見えていた世界で、その世界を彼の解釈をもって一方的に猛スピードで語っていたにすぎませんでした。視聴者が同じリング上の試合をどう見てどう感じているのか、つまり視聴者の世界はそこには存在していなかったのです。

Fさんにとって自社の投資商品はアナウンサーにとってのプロレスに過ぎなかったのです。

「断られるのを恐がっても仕方ないですね。ダメなときはダメだし、次につなげるセールストークをしないと意味ありません。営業とはそれの連続ですね。」とFさんが悟った様子。

「新たな気づきですね。『次につなげる』とは視点が将来に向いた素敵な学びではないですか?」

「今度から早口で話すのが逆に恐くなってきましたよ。私の一言一言に対するお客さんの反応が私の未来を創る。ちょっと大袈裟ですね、、、(笑)」

「一言一言の発し方も今後学んでいただきますよ。」

自社の商品で勝負しなくてはならない営業マンにとって自分の運命が自社商品にある程度の範囲で左右されていることは否めません。

そうであるならば断わられることに恐怖を感じ、”早口セールストーク”で自分の安心・安全を過度に守るのは無意味です。

他社商品を含めたくさんの同様な候補から購入する商品を選ぶ買い手にとって商品そのものより、営業マンのセールス法で商品を決めることも少なくありません。

いっしょにいて心地良いセールマンから商品を買うことになるのです(買い手にとっての安心・安全)。

ここまで読めば賢明な皆さんに答えは明白。

そうセールスは顧客とのキャッチボール。すなわちコミュニケーションなのです。自社の商品が顧客に作り出す世界を自分の言葉で説明することで顧客に見て、感じさせる。その説明に対し顧客は何を見て、考え、感じているのか。この擦り合わせがまさに本物のセールスです。この作業(コミュニケーション)を繰り返すことが次の、そして将来のセールスへと繋がるのです。

弊社コンサルティングで営業の原点に立ち返りませんか?

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