第13話 リーダーが発する言葉とは?
会議や自己紹介などのスピーチで冒頭に冗談を言う人をよく見かけます。
いわゆるアイスブレークで場を和ませるという意図があるようです。
果たして本当にそのアイスブレークは必要なのでしょうか?
その場には緊張を解きほぐす必要がありましたか?
あったとしたらその根拠は何ですか? 参加者の何を見てそう感じましたか?
仮にその明白な根拠が見つかっていたとしても、あなたはその場を和ませるにふさわしい立場の人ですか?
あなたがこれらの質問にはっきりと答えられないとしたら、そのアイスブレークは無用のものなのです。そのアイスブレークは何のためのものでしょうか?
ずばり「この人面白いこと話す人だ」と感心を受けたいがためのものなのです。単なる受け狙いにすぎず、発言の矢印(つまり誰が受け手なのか)が、自らに向いているだけです。
私たちの行動には必ず意図があります。発言にも当然意図があります。意識するしないにかかわらず必ずあるのです。あなたは自ら発する言葉の意図を理解して発言していますか?
ただ何となく自分が思うにまかせ話していませんか?
自分の意図を理解せず漠然と話す。これは社員を引っ張る、チームを勝利に導く、国民の生活を豊かなものにするあなた方リーダーが一番してはいけないことです。あなたはあなたの無意識に自由気ままに言葉を選ばせてはいけないのです。
永年キャッチャーとしてピッチャーをリードし続け、多くの球団で輝かしい功績を残した名監督、故野村克也氏は
「プロは配球一球一球にその意図を説明できなければならない」と語っていました。なぜその球種をそこへ投げるのか?打者の得意なカウント、前の打席で打ち取った球種とコース、その日キレがあるボールは何か? 昨年の成績など。どのカウントでどう打たせどのようなウイングショットでどのように打者を仕留めるかその配球の意図を説明できなければプロではないです。
あなたはリーダーです。経営、チーム運営、政治のプロなのです。なぜ今その言葉を使うのか?その言葉で会社を、チームを、国民をどこへ導き、どのような結果を実現したいのか?
リーダーであるあなたはあなたの一語一語の意図を常に理解して発言する必要があるのです。