第39話 コーチングとは?基本のスキルと仕事で使えるコーチングのやり方、注意点

---ビジネスにおいて、自社の人材育成やマネジメントを目的に、多くの企業でコーチングが取り入れられています。とりわけ人材不足に直面している業界では、いかにして貴重な人材を育てていくかということが課題となっていることも少なくないでしょう。

今日は、コーチングとは?という基本的な部分から、コーチングに必要とされるスキル。ビジネスシーンでの具体的な活用方法。取り入れるメリット・デメリット、注意点について見ていきます。---

コーチングとは

コーチングとは、対象者とコミュニケーションを重ねることで、相手の考えや思考を引き出しながら、目標達成に向けて能動的に行動させていく手法です。

相手に対して、直接的なやり方を指示したり、行動を強制したりすることなく、気づきを与えることで、自主性を促しながら、対象者の力を発揮できる状態にすることで、自己成長を促します。

目標達成や課題解決に対して、主体的に行動できる人材を育てることが、コーチングを取り入れる主な目的です。

-コーチングとティーチングの違い-

コーチングは、相手の能力を「引き出す」ことを目指しているのに対して、ティーチングは「教える」ことがメインのコミュニケーションとなります。ティーチングは、指導者の知識や経験を、相手に直接教えることで、教育していく手法です。

ティーチングは指導者から、指導を受ける人へ、一方向のコミュニケーションとなるので、多くの人に効率的に教育できますが、教えられる側は受動的になりやすいのが特徴です。

コーチングに必要な基本スキル

コーチングによる人材育成を行ううえで必要不可欠となる3つのスキル「傾聴力」「質問力」「承認力」について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

-傾聴力-

傾聴力とは、相手の話をただ聞くだけでなく、話す内容を受け入れ、共感することで、相手を深く理解するスキルのことです。話の内容だけでなく、相手の表情やしぐさを観察し、どういう気持ちでいるのかまで察して感じとる必要があります。

また、相槌を打ちながら話を聴くことも大切です。対象者は自分の言葉、考えを受け入れてもらえていると感じることで、心を開きやすくなるため、信頼関係の構築がスムーズになります。

-質問力-

対象となる相手に、答えを教えることなく「気づき」をもたらすような質問をすることも、コーチングをしていくうえでは欠かせません。

例えば、仕事で失敗した部下に対して「なぜ失敗したのか?」を問いただすのではなく、「なんで失敗したのか分かる?」と、ミスをした原因を責めるような言い方を避け、自身で考える余裕を与えます。

また、関係性を深めたい場合、なるべく答えやすく、コミュニケーションが途切れないような質問の仕方を探るようにしましょう。

対象者の思考や考えを、適切な質問によって引き出しながら、気づきを促してあげることがポイントです。

-承認力-

対象者の自発的な行動や、成長に対して、言葉や態度でその成果を認め、相手に伝わるように承認する(褒める)ことを言います。コーチングでは成果だけを見るのではなく、そのプロセスにも目を向け、褒めるべきところはしっかり褒めることが大切です。

対象者は承認されることで、自身の成長が感じられるとともに、モチベーションも高まります。また人は褒められることで、その行動を繰り返そうとするので、結果さらに自主性が育つきっかけとなります。

【ビジネスでコーチングを取り入れるメリット・デメリット】

人材育成にコーチングは有効ですが、どんな状況にも適しているわけではありません。ここでは、職場でコーチングを取り入れることのメリットとデメリットを見ていきましょう。

-メリット-

・自発的に考え、行動を起こし、問題の解決ができる人材を育てられる

・個性を活かしながら、対象者の可能性を引き出すことができる

・自身で意思決定をして行動するので、目標達成に対するモチベーションを高められる

・社内のコミュニケーションの活性化につながる

コーチングを取り入れるメリットとしては、コーチング対象者にとっての自己成長となること。そして、企業にとっては人材育成につながるだけでなく、組織の活性化を図ることもできます。

また組織内でのコミュニケーションが増えることで、部下や従業員の不満、不安を聞き出すことにも寄与するため、メンタルケアの対策にもなります。

-デメリット-

・一度に大人数を育成するのは難しい

・コーチする側にも、コーチングのスキルが求められる

・コーチングを受ける人に意欲がないと効果を発揮しない

・コーチングを受ける人が相応の知識、経験を持っている必要がある

コーチングは、相手が潜在的に持っている能力を引き出すことで、自己成長を促す手法になります。そのため土台となる知識や経験がなければ実践しても成果は見込めないでしょう。

また、コーチングは双方向のコミュニケーションを重ねていく必要があるので、ティーチングのように大人数を相手にした育成を行うことは現実的ではありません。

コーチングの注意点

コーチングの成否は、コーチする人と、コーチングを受ける人の両者の信頼関係と相互理解が大きく影響します。また、短期間で結果を得られる育成手法ではありません。こうしたことを理解したうえでコーチングに取り組まないと、思ったような成果にはつながらないでしょう。ここでは、そうしたコーチングの注意点について見ていきましょう。

-コーチングを行う相手と信頼関係を構築する必要がある-

コーチングは、人材育成の手法として、コツやテクニックというものが存在します。しかし、その前提としてコーチングを行う両者の間に信頼関係がなければ効果は期待できません。

優れたコーチング技術を持っていたとしても、コーチングの対象者が「下手なことを言って叱られたくない」「自分の評価を下げたくない」といった気持ちが強いようだと、当たり障りのない話を重ねるだけの無益な時間となってしまいます。

コーチングを行う際は、まず本音を引き出せるだけの信頼関係を構築することを優先させるようにしましょう。

-根気よく時間をかけて取り組む必要がある-

信頼関係の構築に時間がかかることに加えて、コーチングは直接答えを教える指導方法ではないため、根気よく取り組む必要があります。ティーチングのような即効性を期待できるものではありませんので、スピードが求められるシーンには不向きとなります。

労力と時間をかけるだけの価値のあるコーチングですが、成果が出るまでに時間のかかる手法であることを理解して取り組むようにしましょう。

コーチングが役立つビジネスシーン

ビジネスシーンや業務内のどんなときにコーチングを活用できるのか、その具体例を見ていきましょう。

-知識も経験も十分なのに自主性が育たないとき-

すでに社内研修を終え、大きなミスもなく実務経験を一通りこなしてきているにも関わらず、業務に対して主体性を持って取り組めないという部下や従業員は少なくないはずです。

こういった部下に対してのコーチングは非常に有効です。培ってきた知識や経験があるため、その能力を引き出してあげることで、大きく成長し活躍してくれるようになる可能性があります。

-部下の目標設定とモチベーションの向上-

コーチングによってコミュニケーションを重ねることで、部下の内面的な考え、思いを引き出し、それを起点に目標設定をします。そして、その目標を達成するにはどうしたらよいのか、コーチングをしながら、部下自身が答えを出せるように導いてあげることが重要です。

部下自身が前向きな目標設定に対して、主体的に行動することができるので、高いモチベーションで業務に取り組むことができるようになります。

【コーチングとティーチングを使い分け、効率的な人材育成を目指す】

人材育成、人材開発にはさまざまな手法があり、コーチングはそのなかの1つになります。対象者のスキルや能力、立場に応じて、適した手法を取り入れることが大切です。

新入社員や業界未経験の人材であれば、コーチングよりもティーチングによって基礎的な知識やスキルを教え、経験を積ませた方が効果的になります。

人材の成長レベルに合わせて、コーチングとティーチングを使い分け、効率的な人材育成を目指していきましょう。また併せて、管理職など指導する立場の人材には、コーチングスキルを身につけてもらうことで、社内の人材育成がスムーズになり、社員全体の価値向上を図ることができるようになります。

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