第58話 経営者が考えるべきゴールの決め方とは?-エクゼクティブコーチングの考え方を解説
---エクゼクティブとしての大切な任務に明確なゴールを持つというものがあります。収益は企業経営にとって大切な指標の一つです。しかし、それはゴールではなくあくまでも通過点。企業として社会に価値を提供した結果の反映でしかありません。企業としていかなる価値を提供できる存在を目指すのか?それがゴールです。
そしてその企業像を自分の言葉でステークホルダーに説明できなければなりません。---
「市原さん、いつもいろいろとご指導いただいて漸く自分の目指すべき方向、あっ違った、目指したい方向が見えてきました。
部下たちにもよく言うんです。
『君たちはどこに行きたいんだ』と。
でも彼らから返ってくるのは事務の効率化や増員などの業務改善に関する要望ばかりなんです。」
「Oさん、ちょっと待ってください。」
またまた出ました。”ちょっと待ったコール”。
都内の金融機関で執行役をするOさんに対するコーチング中における問答です。
【発車できないタクシー】
あなたはタクシーの運転手です。街中で乗せたお客さんにまず何と聞きますか?もちろん
「どこへ行きますか?」
ですよね。
乗客が
「最近はモノの値段は上がるわ、戦争とか暗いニュースばかりだよね。全然面白いことがないのですよ。困ったものです。」
「遊園地も行き飽きたし、美味しいレストランもないし、、、」
などとぼやいたとして、それらの不平不満をひと通り聞いてあげたとしとも、次にあなたは聞くはずです。
「それで、どこへ行きますか?」
目的地が決まらないかぎり運転手であるあなたはタクシーを発車させられません。
【世に蔓延ー成り行きまかせの企業経営】
しかし、こんな簡単なことが企業経営となるとほとんど出来ていないのが現実です。企業が目指すゴールを決めることなく、経営をしている経営者がとても多いのです。
先代など以前から継続している会社を引き継いだものの、現経営者がその場その場、その都度その都度で会社を回し、気がついたら現在に至っているだけという会社が大半です。
そのような会社では今まで何となく成り行き任せでこのようにやってきたから、これからも何となくこういう風にやっていこう、という重くてくすんだ空気が経営者をはじめ社内全体を覆いつくします。
【売上目標はゴールではない】
ここで注意したいの売上、利益などは目的地(ゴール)ではなく経由地に過ぎないということ。
経営者は経由地でなく目的地をはっきりと認識する必要があります。
どのような会社を作り、顧客、従業員、仕入れ先などを含めた市場、株主、地域社会などの会社を取り巻くステークホルダーからどのように映り、何が聞こえるのか(営業現場や社員たちの会話など)?
そしてステークホルダーはその会社を見て、その場をあなたと共有してどのように感じるのか?
経営者はこれらをしっかりと言葉にできなければ会社を前に進めてはいけないのです。
収益目標などの経由地だけを声高に訴えるのはタクシーの運転手に向かって
「あっちの方向へ行ってください。」
と言っているのと同じです。それではタクシーは発車出来ません。
【ゴールは最終目的地】
冒頭のOさんの”目指したい方向”では不十分で、”目指す世界”でなくてはなりません。
(目指したいでなく目指すでなければならない理由 ご参考:コラム第2話。思うだけでは叶いません。思うより願いが叶う言葉使い。 | コミュニケーションコンサルティング (com-cons.com) )
エクゼクティブに限らず目指す方向は分かっていても最終目的地が分からないまま生活している人が多い。それは進んでさえいれば安心できるという人間が持つ本能かも知れません。止まることへの恐怖から逃れているだけともいえます。
O執行役の質問に対し社員が事務効率化や人員強化といった業務改善ばかり要望するのも致し方ないこと。
上司である執行役が方向だけを示し、目的地を周知していなければ部下は快適に進みたいと反応するしかありません。
「あっちへ行くぞ!」には「安全運転でお願いします。」としか言えないのです。
【ゴール設定はエクゼクティブの任務】
企業経営に携わるエクゼクティブであるあなた
目的地をはっきり決めていますか?
会社は回ってさえいれば良いと妥協していませんか?
コミュニケーションコンサルティングはエクゼクティブであるあなたのゴール作りとその実現をサポートします。
エグゼクティブコーチング〜自己実現を目指す経営者のためのコーチング〜| コミュニケーションコンサルティング (com-cons.com)