第26話 新規開拓で営業マンが聞くべき唯一無二のこと
「お客さんにせっかく時間をいただいても、毎回質問することがバラバラになってしまい、営業が上手くいったのかどうかさえよく分からないです。」
都内の金融機関で自ら志願して飛び込みの新規開拓営業をする若手営業マンIさんからのご相談。
「質問することがバラバラとはどういうことですか?」
オウム返しをすると同時に彼の発言を具体化しようとの私の質問に、
「情報収集を意図して会社のことを聞いたり、顧客目線に立って商品の頭出しをしたり、信頼関係を構築しようと敬語を心がけたり、お客さんの悩みを聞こうとしたりしています。」
どれも新規開拓の教科書に記載されている大切なことです。
「Iさん。本当にお客さんに聞きたいことは何ですか?これだけは知っておきたいということです。」
「う~ん、設備投資計画かな~業績目標かな~」
口ごもるIさんに対し、
「ひとつだけしか質問できないとしたら何を聞きますか?」
「出来る事なら決算書やホームページに載ってないことを聞きたいです。」
「なぜですか?」
(弊社コンサルティングではたとえ回答が正解でもその理由を聞きます。その理由を聞くことで依頼者が大切にしていること=信念・価値観が聞き取れますし、依頼者自身が言語化することで回答を身体に落とし込むことができるからです。)
「決算などの数字は逃げないし、その会社の生の姿を知りたいじゃないですか。経営者が大切にしていることに
それが現れると思うのです。」
飛び込み営業の部署への異動を自ら望んだだけに当事者意識が強いIさん。正解です。
飛び込み営業では対応相手が誰かにかかわらず
「社長は何を大切にしていますか?」を聞いて下さい。事業計画、売上目標を聞いても構いません。
「何を大切にしている会社ですか?」だけは欠かさず絶対に聞いて下さい。
事業計画、売上目標は行動・環境レベル(どこで、いつ何をする)に関する情報ですべて数字で表せます。
これに対し大切にすることや企業理念は信念・価値観レベル(なぜ)に関する情報で会社の根幹をなすもので、決して数字には表せません。文章として人の口から語られる必要があります。
人がそうであるように企業にも行動の基本になる信念・価値観が必ず存在します。
(→ご参照:第23話 本当のコーチング-部下の信念を知っていますか?本当のコーチング-部下の信念を知っていますか? | コミュニケーションコンサルティング (com-cons.com) )
くだんの営業マンのなかで社長に「社長は何を大切にしていますか?」と聞く人は皆無です。
これだけでも相当のインパクトであなたの印象は強く残ります。
聞かれた社長はおそらくハッとしながらも「こんなこと聞くなんて面白いやつだな」と語り始めるでしょう。
ではこの質問に答えない社長にはどう対応すればよいか?
答えは簡単。その会社には縁がありません。次を探しましょう。
この基本的な質問への回答を持ち合わせていない当事者意識の低い社長(会社)が新規であるぽっと出の貴社とビジネスを開始し、継続する可能性は極めて少ないでしょう。
応対相手が社員の場合でもふだんから社長がしっかりとリーダーシップをとっていれば「何を大切にしている会社ですか?」にはちゃんと答えられるものです。
そして「社長は何を大切にしていますか?」の質問に好感度を示す社長はあなたにも聞いてくるでしょう。
「ところで、あなたは何を大切にしていますか?」と。
そう、あなたはあなた自身の回答を持ち合わせている必要があるわけです。
弊社エグゼクティブコーチングではあなたの営業マンとしての信念・価値観の確立をサポートします。