第41話 今年はどんな年にしますか?-社長のプレゼンテーション、トレーニングをする前の大原則
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---世の中にはいろんな人がいます。よく言われるこのフレーズ、その意味するところ何でしょうか?信念(大切にしていること)・価値観(好きなもの)が人によって異なる、というのがその意味ではないでしょうか?それに加えて我々が知っておくべきことがあります。それは人によって物事の表現方法が異なるということ。同じ出来事でも使う言葉、伝え方は人によってまちまちということです。---
「市原さん、仕事始めで年頭の挨拶をしたのですが社員たちの反応がいま一つ。困ったものです。」
アパレル商社を経営されているY社長からの今年最初のボヤキともとれるご相談です。
「それでYさんはどういう年頭の挨拶をされたのですか?」
「『今年こそ売上20%増、利益率改善、一人当たり経費率劇的低下を目標に設定して邁進する所存です。』と力説しました。しかし、半分以上の社員がポカーンとして理解しているのかどうかさえ分からない有様でした。」
「ポカーンとした表情から察するに社員さんたちは理解されていたんでしょうかね?」
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「いや~、理解してないだろうな。」
「なぜ、理解できなかったのでしょうか?」
「、、、それが分かれば簡単ですよ。」
「ではお聞きします。ご自身がおっしゃった
『今年こそ売上20%増、利益率改善、一人当たり経費率劇的低下を目標に設定して邁進する所存です。』
の表現に問題があるとしたらそれは何でしょう?内容に関してではないですよ。内容は社長であるあなたが決めたこと。それに対し私はとやかくいうつもりはありません。あくまでも表現方法についてです。」
「う~ん。固いな。一言で言って。」
「固いとは?」
「漢字が多い。理屈ぽい言葉だけになっている。」
「理屈ぽくて言葉だけになっているとどうなりますか?」
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「、、、う~ん、無機質です。まったくどういう世界なのか表現出来ていない。何と言えばいいのか、、、絵もまったく浮かんでこない。これじゃ私が言いたいことは全く伝わらないです。」
「そうです。説明不足の塊です。売上20%増という意味は社長のあなたは当然分かっているでしょう。いつに比べて20%増えて、その結果売上が合計いくらになるのかも語られていない。利益率、経費率の言葉についても同様です。」
「おっしゃる通りです。利益率なんて簡単に言ってるけど分かってるつもりになっているのは自分だけです。」
「これだけ自分の世界を無機質な言葉で表現すると結果として絵がなくなりますよね。」
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人間は外部の情報を見て、聞いて、それを言葉に変え、身体の感覚に落とし込みます。
ご参照 →第17話「社長、この商品のセールスポイントは?」五感に合わせたセールス法 第13話 コミュニケーションコンサルティング | コミュニケーションコンサルティング (com-cons.com)
世界を見て、聞いて、考えて、感じるということです。
言葉に変える時、人によって優位な感覚が異なるのです。それを表す言葉も変わってきます。
視覚優位の人、聴覚優位の人、体感覚優位の人に大きく分かれます。
視覚優位の人:「見える」「○○色」などの言葉で物事の見た目を表す表現を好む
聴覚優位の人:「聞こえる」「分析する」など言葉の論理的な面を重視しやすい。
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体感覚優位の人:「感じる」「重い・軽い」など身体感覚の言葉を使う傾向が強い。
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これらは右利き、左利きという利き腕と同じで癖のようなものです。これらのタイプに優劣はなく、われわれ人間社会にはこれのタイプが混在しています。
Y社長の年頭挨拶は聴覚優位の人の言葉使いになっており、視覚優位の人、体感覚優位の人にはまったく伝わっていなかったと考えられるのです。
社長は目の前の社員たちにも視覚優位な人、聴覚優位な人、体感覚優位な人がいるという前提でプレゼンテーションをする必要があるわけです。
これは自分が目指す世界を語り、人を導くリーダー達は特に知っておくべきことです。
またこのことは人前でのプレゼンテーションのほか他人とのコミュニケーションでも絶対に知っておくべきことです。
ではすべての人に伝わるにはどのような言葉を使うのか?
目の前の人たちの目が輝き、納得の頷きをしながら、「そうなんだ!」の声が溢れる。
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