第57話 エクゼクティブのコミュニケーション力とは?ーエクゼクティブコーチングでの前提
---エクゼクティブになればなるほど陥る罠があります。それは言葉の罠。自分の言葉が世界共通語という勘違い。自分の発した言葉が”独走”しはじめ、最後には自分を苦しめます。きょうは墓穴を掘らないエクゼクティブのためのコミュニケーション術についてです。---
「よく部下の営業マンたちに言うんですよ。『君たち頑張りすぎだ。100%でなくて80%でいいんだよ。』と。でも伝わらないんですよ。」
「T社長、ちょっと待ってください。」
都内で投資顧問業を営むTさんとの問答です。
ここで読者の皆さんへ質問です。それに対する①~④のうち正解はどれでしょう?
質問
T社長のいう「80%でいいんだ」とは具体的にどういうことでしょうか?
回答
①100%の予算達成を目指さなくてよい。80%で十分だよ。
②100%の顧客を訪問しなくてよい。80%の顧客に会えればよい。
③全力で頑張らなくてよい。力むな!80%の力でリラックスして営業すればよい。
④T社長に更に「それってどういうことですか?具体的に教えて下さい」と訊く。
当社コラム愛読者であれば正解はもうお分かりだと思います。
正解は④。
【エクゼクティブが常に意識すべきこと】
言葉の意味は人によって違うということを常に意識してください。
「山」という言葉を聞いて富士山を想像する人もいれば子供のころ遊んだ裏山を思い出す人もいます。
人は生まれ育った環境やいろいろな経験を言葉というツールを介して通じて無意識に脳内に蓄積していきます。
だから山という平易な言葉でさえ二人として同じものを意味することはありません。
ましてやT社長がいう「100%でなくて80%でいいんだよ。」とい発言はT社長が意味することと部下の認識が一致することは絶対にありません。
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人は立場が上(エクゼクティブ)になればなるほどこのことを忘れがちです。
それは多くの部下が上司であるあなたの権限、権威を懼れ、分かったふりという”忖度”する人が周りに増えてくるからです。
【絶対的キーワード:「具体的には」】
今時
「俺は上司だ。言っていること分かるよね。」
という方は少ないと思います。
ではあなたは
「私の伝えたいことは具体的には〇〇ということです。」
と説明していますか?
リーダーであるエクゼクティブは部下の理解状況に合わせて都度都度説明しなければいけません。あなたの世界観に基づいたあなただけの言葉は通じないものだということは絶対に忘れないでください。
【発言後の確認も忘れずに】
弊社定義の一つにリーダーたるもの部下に質問するというものがあります。
あなたが部下に発言した後は必ず
「どうですか?」と部下の意見を必ず訊いてください。
この時は部下が自由に答えられるように「どう」という言葉を使いオープンクエスチョンで訊いてください。間違っても
「理解しましたか?」「分かるよね?」とイエス・ノーでしか答えられないクローズクエスチョンでは聞かないでください。
先に説明した”忖度”が働き「はい。」としか答えない可能性が高いからです。
【最も効率的なプロセス】
今日解説した「具体的には」→「どう」というプロセスなんて面倒くさくていちいちやってられないしそんな時間もない、という呟きが聞こえてきます。
でもよく考えてみて下さい。エクゼクティブであるあなたの真意が正確に伝わることなく部下が行動を起こしたらどういう結果がもたらされるでしょう。
偶然、上手くいくことはあるでしょう。
しかし、そうでなく途中あるいは最終的にトラブルが発生しようものなら、あなたは「〇〇という意味で△△と言ったのですよ。」と確認作業が必要になるのです。
そして改めて振りだしに戻らなければならないのです。
初めから「具体的には」→「どう」というプロセスを踏むことが最も効率的なのです。
エクゼクティブが部下と真のコミュニケーションを図る。
これが収益向上への最短ルートなのです。
弊社はエクゼクティブであるあなたのコミュニケーションスキルのアップをサポートします。
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